2000万年前の地球を宿す「滝ヶ原石」をアロマストーンに。ロマンあふれる香りの時間旅行を
自然素材を活かしたサステナブルな商品の開発に取り組む『合同会社グリーンジョブ』。繊維関連のプロダクトからスタートした同ブランドですが、現在は小松市で産出される「滝ヶ原石」を使用した商品も展開しています。
どんなところに魅力が?お話を伺ううちに、地球の神秘に触れるような壮大なストーリーが浮かび上がってきました。

■滝ヶ原石を砕く作業。中からちいさな木の化石が出てくることも。
石川県小松市は“石のまち”。
約2000万年前の活発な火山活動によって、この地にはさまざまな宝石や石材が誕生しました。
弥生時代にはすでに勾玉の素材として使われていたと考えられており、以後およそ2300年にわたって、地域は石の産業とともに歩んできたのです。
江戸の初期からは石の活用が一層さかんになり、一帯には25か所以上の石切り場があったのだそう。それぞれに全く異なる特性を持つ石が採掘され、それぞれの地域の名がそのまま石の名称となりました。
「滝ヶ原石」もそのひとつ。滝ヶ原地区のみで採れる、多孔質でやや青みがかった色が特徴の石材です。

■滝ヶ原石の石切り場。
はじまりは、偶然の出会い
『グリーンジョブ』を運営する澤出さんと宮元さん。おふたりが滝ヶ原石と出会ったのは、まったくの偶然からだったと言います。
ある異業種交流会に参加した際、たまたま隣の席にいたのが、滝ヶ原石を専門に扱う『荒谷商店』の方だったのです。
話を聞いて関心を持ったお二人は、後日、滝ヶ原石の石切り場を見学に。一目でその景色に圧倒されたといいます。
「そこには、まるで遺跡のような風景が広がっていたんです。かつて手彫りで採掘していた歴史の跡が残る、壮大な場所。この魅力を広く伝えなければ、と運命を感じたんです」。

■天然成分100%の精油に漬け込み、香りをしっかりと染み込ませます。
地元の「石の文化」をアロマストーンに
近年、スタイリッシュな建材として再評価されつつある滝ヶ原石ですが、「もっと日常の中で、気軽にその魅力に触れてほしい」と考えた『グリーンジョブ』のお二人。
そこで、滝ヶ原石をアロマオイルに漬け込み、香りを染み込ませたアロマストーンを開発しました。多孔質で水分や香りを吸収しやすいという滝ヶ原石の特性を活かしたアイテム。お部屋に置いておくと、やさしく香りが広がります。
香りは3種類。ウッディな「太古の森」、フローラルな「秘密の花」、そしてエキゾチックな「遠い記憶」。
「滝ヶ原石が誕生したころの地球を想像するのは途方もないことですが、どんな植物があって、どんな香りが漂っていたのか?と自由に想像を巡らせながら調香しました」
と宮元さん。

■石材を切り出す際の端材を活用したサステナブルなアイテムです。
2000万年前の地球とのつながりを
2000万年前の火山活動によって火山灰が幾重にも降り積もり、長い年月をかけて石となったと考えられている滝ヶ原石。
そのため、石を割ると中から木の化石(珪化木)や、異なる鉱物が現れることも。ワクワクする瞬間だと言います。
「滝ヶ原石は宝石のようにキラキラ輝くわけではなく、一見“ただの石ころ”に見えるかもしれません。でもこうして中から化石が出てきたりすると、『ただの石ころじゃない。地球の奥深くから、時を超えてやってきた石なんだ』と感じるんです」
と澤出さん。
アロマストーンに叩き割ったままの自然なかたちを残しているのは、この石がたどってきた長い長い「時間旅行」に思いを馳せてほしいという願いからです。
「当時の地球では大きな地殻変動が。次の時代に向かって大きく変化していたのではないかと思うんです。そして今を生きる私たちもまた、変化の多い時代のただ中にいます。だからこそ、この石にはシンパシーを感じるのです」
と宮元さん。
目まぐるしい日々の中で偶然この石と出会い、こうしてご縁を結んだ。そのことが自分たちの背中をそっと押してくれたような気がすると言います。
「この石を手に取った誰かにも、そんな風に何かを感じてもらえたら嬉しいです」と、最後にお話してくださいました。
2000万年前の地球を宿した石が、アロマストーンとして暮らしの中に穏やかな癒しを届けてくれる。そう思うと、なんだか素敵な同居生活です。
みなさんも、ちいさなロマンをお部屋におひとついかがでしょう。

■気の遠くなるような時間を宿した石。ぜひ手に取って眺めてみて。
<じのもんオンラインショップで販売中>
合同会社グリーンジョブ
石川県小松市林町ア19番地
[お問い合わせ]https://www.greenjob.biz/contact ※外部サイトに遷移します
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じのもんライター:中嶋 美夏子
大学進学を機に金沢へ。おいしい食べ物と暮らしに根付く美意識に感動し、日々探求しているうちにいつの間にか十数年が経ってしまった。人々のなにげない日常が撮りたくて、ちょっとしたお出かけでもいつもカメラと一緒。能登からやってきた保護猫とふたり暮らし。