自然回帰の「渡津蛍米」が育つ景色を訪ねて

自然回帰の「渡津蛍米」が育つ景色を訪ねて

夏至にはさまざまなホタルが乱舞して、秋にはアキアカネなどが飛び交う。

現代では見ようと思ってもなかなか見られない、にっぽんの原風景。

そんな絶景の中で育てられている「渡津蛍米」の水田を訪ねました。

ホタルが放つ幻想的な光に見惚れる、ノスタルジックなにっぽんの夏――

そんな夏の夜をいつか体験してみたいと思うものの、現代においてホタル狩りは難しい。

キレイな川や水田の草むらにいるみたいだけど、市街地では見つけられる気がしない。

そんな中、親戚から贈られてきたのが「渡津蛍米(わたづ ほたるまい)」のこしひかり。

蛍米って風流な名前だなと思いつつ同封されていた『おおた農場』のチラシを見ると、
「やっと帰ってきた、田んぼのホタル。」
という言葉。もしかして、このお米が育つところにホタルがいるということ!?

現代ではほぼ見ることができなくなったと言われる、ホタルがいる水田。
どんなにノスタルジックで幻想的なのだろうとワクワクがつのり、行ってみることに!

■エコ農法で育てられる『渡津蛍米』。粒がしっかりしていておむすびがにぎりやすい!

「渡津蛍米」を育てる『おおた農場』がある渡津町は、金沢市から車で約1時間。
鶴来を抜け、鳥越城跡を越えて、大日川沿いに進んだ白山麓のまちです。
周りには実り始めた水田が広がっていて、深呼吸すると気分もスッキリ!

あらかじめ『おおた農場』のお米を炊いて、おむすびにして持ってきたので、それを食べて
ひと休み。

目の前に広がる風景が目と心に沁みるし、お米が噛むほどに甘い。
冷めてもモチモチしていて、少しだけ入れた塩といい塩梅。ペロリと完食するほど美味!

こんなにおいしいお米が育つところにホタルがいるのか……

■『渡津蛍の里』の看板。ホタル観賞のマナーが書かれているので必見

大田さんの水田を含む『渡津蛍の里』には、水田にヘイケボタル、近くの川にはゲンジボタル、
水田周辺にはオバボタルやオオオバボタルが生息。

現代の日本において、これほどの種類のホタルが同じ地域で見られるのは激レア!
(光るのはヘイケボタルとゲンジボタル。発光する時期はホタルごとに違うそうです)

農場主・大田さんにお話しを伺うと、「おいしいうえに完全無農薬で自然を守る、サステナブルな米作りが信条」とのこと。

「ホタルは農薬にとびきり弱い生き物なんです。
中でも水田に住むヘイケボタルは農薬散布や環境の変化で、絶滅危惧種になってしまって
いるんですよ。
そのヘイケボタルがうちの水田に多く生息しているということは、環境にやさしい農業の
バロメーターにもなるといえます」

■ホタルが光るのは求愛行動なのだそう〈PHOTO:Gouichi Miyazaki〉

とはいえ、自然が豊かな場所で有機米を育てるのは、大変な労力。

水田はもちろん、あぜ道にも除草剤や農薬を撒かず、手や小さな機械でコツコツと除草していると聞いて驚きです。

だからこそ、いろんな植物が育ち、農薬などにとても弱いホタルやトンボ、コオロギ、
カエルなど、たくさんの自然の生き物が棲んでいるんですね。

■水田で乱舞するホタル。淡い光なので鑑賞はマナーを守って〈PHOTO:Gouichi Miyazaki〉

ただ、『おおた農場』の水田も『渡津蛍の里』も、ともすればスマホが圏外になるほどの山里。

後継ぎにと金沢から戻ってきた大田さんの長男さんが、
「こんなにもすばらしいお米なのだから、広く認知してもらいたい。見える化を!」
と、いろんなコンクールや大会に「渡津蛍米」を出品されています。

その甲斐あって、2023(令和5)年の年末に新潟県で開かれた「第25回 米・食味分析鑑定コンクール国際大会」では、「JAS・JAS転換中」分野で最高賞の金賞に!

■「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と詠みたくなるほど大粒

「ホタルが棲めるほどの環境で育ったお米は、心身の健康はもちろん、
 サステナブルな未来へもつながっていくはず。
 ホタルはキレイで癒される……で終わらず、何故いないのか?
 原因とその先まで考えるきっかけになれば嬉しいですね。 
 命は命によって支えられているということが、きっと見えてくると思います」

水田を見ながら、穏やかな表情で話す大田さんがとても印象的で。

私も水田を見て、周辺の自然を見て、〈Furusato〉を感じて――

次こそは、ホタルが飛び交う季節に来よう、と思うのでした。

 <この商品はこちらのカタログに含まれています。>

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おおた農場
076-254-2198
石川県白山市渡津町口106

https://otanojo.weebly.com

※現在、店頭販売は行っておりません
※『渡津蛍の里』の見学は自由ですが、マナーを守ってご鑑賞ください


じのもんライター:南出 ときこ

県外から石川県の大学へ進学し、県内の会社でライターとして働くも30歳を前に結婚。「大学までの自分を振り返ると、家族みんなで過ごせる時間は案外少ない」との考えから、家族で楽しめるアクティビティは大歓迎。サブカル女子なので自分の趣味時間も大切。

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