もっとカジュアルに「加賀友禅のある暮らし」を。『茜や』が目指す、人と伝統工芸の新しい関係性。

もっとカジュアルに「加賀友禅のある暮らし」を。『茜や』が目指す、人と伝統工芸の新しい関係性。

金沢の伝統工芸・加賀友禅。

この素晴らしい伝統がこれからも金沢の地に生き続けることを願って、加賀友禅工房『茜や』さんは様々な取り組みを続けています。

■加賀友禅の伝統は、草花を写実的に描くことにあると言います。繊細で上品な仕上がりが特徴。

金沢の人は、加賀の伝統文化をとても大切に思っています。
美しい伝統がすぐそばにあることがあたりまえで、ちょっと誇らしい。そんな気持ちで暮らしている人が多いのです。

伝統の染め物「加賀友禅」もそのひとつ。
繊細な染色技法を駆使し、職人の手仕事によって生み出される、まさに芸術品です。

だからこそ、金沢の人々にとって加賀友禅は「特別な日のための着物」というイメージ。
「素敵だなぁ」と憧れつつも、なかなか着る機会がないという人も少なくありません。
でも、せっかくの素晴らしい文化が遠い存在なのは、なんだかもったいない気がします。

明治時代から続く加賀友禅の工房『茜や』さんにも、そんな思いが。
「日々の暮らしの中に加賀友禅があることがスタンダードになってほしい」と考え、さまざまな取り組みを続けていると言います。

■ふきんなどの日常で使用する布小物に加賀友禅を取り入れられるシリーズです。

日常のアイテムに加賀友禅を

「加賀友禅を身近に」。その想いから生まれたシリーズのひとつが「吸“SUI”シリーズ」です。
風呂敷や手ぬぐい、ふきんといった日用品に加賀友禅の技を活かした商品で、「水分を吸う」「暮らしに吸い込まれる=馴染む」というコンセプトのもと作られました。
「このアイテムを使うことで、日常の中に加賀友禅の美しさや金沢の風情を感じてもらえたら嬉しい」
と話すのは、『茜や』の北村さん。

■伝統的な染色技法を守りつつ、古典的な模様を現代風にアレンジ。

加賀友禅の魅力は、デザインに込められた「メッセージ」

加賀友禅に描かれる模様は単なるデザインではなく、それぞれに意味や願いが込められているのだと言います。
それはカジュアルなデザインの「吸“SUI”シリーズ」でも同じ。
モチーフとして描かれているのは「牡丹」「分銅」「鍵」の柄で、美・幸福・富貴・未来などを象徴する縁起の良い模様として、豊かな暮らしへの願いが込められているそうです。
そう聞くと、このアイテムがなんだかお守りのような存在に感じられますね。

これからは、加賀友禅を目にしたときに「この模様にはどんなメッセージが込められているのかな?」と考えてみると面白そうです。

■制作には多くの工程が。すべてが手作業で行われ、熟練の職人技が求められます。

加賀友禅のこれから

友禅染めにはいくつかの産地がありますが、その中でも特に加賀友禅は、伝統を重んじ、あえて合理化を選ばず、職人の手仕事を大切にしてきたと言います。
手作業だからこそ生まれる繊細な技法、職人の感性が反映されたデザイン、細部までこだわった色使い。
「職人の極意に触れ、描かれる模様の意味や心意気を知ることで、伝統文化の価値をより深く感じてもらえたら」
と北村さん。

季節の移ろいや景色からインスピレーションを受けて制作されるという加賀友禅。
未来の金沢では、どんな願いを込めてどんな模様が描かれるのでしょう。今から楽しみです。

■加賀友禅に触れ、体験できる施設『茜やアーカイブギャラリー』も運営。

<じのもんオンラインショップで販売中>

友禅 SUI小風呂敷 Blue/Gray

友禅 SUIてぬぐい Blue/Gray

友禅 SUIふきん Blue/Gray


茜や
076-223-8555
石川県金沢市里見町53-1
営/10:00~17:00
休/月曜~金曜
※土日のみの営業となります
[Instagram]@akaneya.kanazawa ※外部サイトに遷移します
[X]@akaneyakanazawa ※外部サイトに遷移します


じのもんライター:中嶋 美夏子

大学進学を機に金沢へ。おいしい食べ物と暮らしに根付く美意識に感動し、日々探求しているうちにいつの間にか十数年が経ってしまった。人々のなにげない日常が撮りたくて、ちょっとしたお出かけでもいつもカメラと一緒。能登からやってきた保護猫とふたり暮らし。

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