石川県珠洲市を拠点に、能登でとれた材料を使用したスキンケア商品を作る『NAIA（ナイア）』。 

実は親会社のアステナグループは、東京を拠点とする医薬品事業会社。
地域課題の解決を目指して珠洲に新たな拠点を設け、その一環としてこの地でNAIAの事業をスタートさせたという意外な背景を持ちます。

さらに、スキンケア商品だけにとどまらず、2023年度からは珠洲で米作りにも取り組んでいるとのこと。 

スキンケアブランドがなぜお米？そもそもなぜ珠洲に？取り組みの背景にある思いについて、『株式会社NAIA 』法人営業グループの藤原 弓さんにお聞きしました。

地域とのつながりから生まれた『NAIA』というブランド

――まずは『NAIA』というブランドについて、どのような背景で生まれたのか教えていただけますか?

「はい。実は私たちは『アステナホールディングス』という創業111年をむかえる会社の子会社になります。
親会社では医薬をはじめとしたいくつかの事業を展開していますが、そのうち2021年に始めた『ソーシャルインパクト事業』の一環として『NAIA』は誕生しました」

――ソーシャルインパクト。聞きなれない言葉ですが、どういった事業になるのでしょうか？

「簡単に言うと、地域の課題を解決するための事業です。
いま日本には過疎化が進む自治体が400もあるというデータが出ているんです。

珠洲市もその一つなのですが、本州の市のなかで珠洲は最も人口が少なく、能登半島の先端という立地もあって過疎化のリスクが特に高いと言われています。

ですから、もし珠洲で地域活性化の取り組みに一定の成果を出せれば、将来的に過疎化の課題を持つ他の地域のモデルケースとして広く活用していただける。そう考えたんです」

――なるほど。つまり、発端としては「能登らしいスキンケア商品を作ろう」ということではなく。

「そうではないんです。構想がはっきりしていない中で本社からメンバーを選んで珠洲に移り住み、何ができるか探すところから始まりました。
最初は社長※自ら珠洲に住んでリサーチをしていたんですよ」

――社長自ら!

※2021年当時

「珠洲市に本社機能の一部を移して事業を始めましたが、やはり地域の人からすると『東京の大きな会社が珠洲に来て何をするの？』と。 でも、私たちも答えを持っていない。
会社としても個人としても珠洲に軸足を置いて模索する日々でした。
そうするうちに、徐々に地元の方とのつながりができてきたんです。
そこで初めて『わが社で商品化するなら？』という話が立ち上がってきました」

――そこで初めて「スキンケアだ！」と。

「そうです。能登にあるものを使って、医薬を強みとする私たちの会社にできることとは？と考えた末、最終的にスキンケアに行き着いたんです」

能登の素材だからこその効能

――地元の方々から素材を分けてもらい、商品に使用しているのですね。

「はい。例えばこちらの洗顔料、化粧水、美容乳液には、地元の酒蔵『櫻田酒造』さんと『宗玄酒造』さんの酒粕を使用した独自開発成分である熟成酒粕超濃縮エキスが配合されています。
ちなみに、ただ酒粕というだけでなく“能登の酒粕”でなければ！という理由もありまして」

――どういうことですか？

「近年、能登の酒粕には他と比べてアミノ酸が多く含まれているという研究結果が出たんです。
このアミノ酸というのは平たく言うと天然保湿成分のことなのですが…」

――つまり、保湿力が高いということですね。

「そうなんです。しかも、酒粕をそのまま使うのではなく、100日間熟成させてから使用しています。
そうすることでアミノ酸がさらに増えるんです。
洗顔料にはこの熟成酒粕パウダーが最も多く5%配合されていて、うちの洗顔は顔を洗ったあとのほうが潤うというデータが出ているんですよ」

――洗ったあとのほうが！それはすごい。

「ただ、その分独特の匂いが…。熟成された酒粕の匂いといいますか。苦手な方もいらっしゃるかもしれませんので、はじめにおことわりして販売をしています」

――個人的には、肌にいい成分がしっかり入っている証拠だなと嬉しく感じるポイントかもしれません。

「ありがとうございます。まずはぜひトライアルキットでお試しいただきたいです！ここだけの話、かなりお得な内容量になっておりますので」

――御社では、今後も能登の素材にこだわって商品を作っていくのでしょうか？

「はい。その信念は変えることなく、その時々のご縁をきっかけに商品づくりを続けていきたいです。
そうやって『NAIA』を地元に根付いた、地元で愛されるブランドに育てていきたい。それが最も大切なことだと考えています」

(後編につづきます)

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