七尾市の特産品、牡蠣が贅沢な餃子になりました。“移住者”が手掛ける能登の味(前編)
石川県七尾市。カキ養殖で全国的に高いシェアを持つ隠れた牡蠣の名産地です。
そんな牡蠣をふんだんに使った「牡蠣餃子」を作るのは、七尾市の居酒屋『朝漁れ一番 哲』の会田 哲也さん。牡蠣餃子はお店で提供するだけでなく通販で全国的に販売も。人気を集めています。
そんな会田さん、生まれも育ちも七尾市…ではなく埼玉県。なぜ現在に至るのでしょうか。そんなお話も含めてお聞きしてきました。
まずは牡蠣餃子の話を。

――具に使われているのは七尾湾の牡蠣と地元の伝統野菜「中島菜」。ひき肉は一切入っていない、正真正銘の“牡蠣餃子”です。これは、好きな人にはたまらないですね。
「皆さん、騙されたと思って一度食べてみてほしいです!美味しくないと言う人はいないと思います!
と言っても、牡蠣が苦手な人には美味しいと思ってもらえないかもしれませんが…。ちなみに、牡蠣が好きな人って日本の人口に対して何割ぐらいいるか知っています?」
――わからないです。何割ぐらいなんでしょうか?
「調べたら1割ほどみたいなんですよ。でも、その1割の人にヒットするのが大事だと思っています」
――それでこの極端とも言える材料になっているんですね。ちなみに、おすすめの調理法は揚げ餃子だとお聞きしましたが…

「そうなんです。はっきり言ってこの餃子は水餃子には向きませんので、ぜひ“揚げ”で。」
――そうなんですね!それはなぜでしょう。
「牡蠣は豚ひき肉とは違って“肉汁がジュワーっと…”という食感ではないのが大きいですかね…」
――なるほど、牡蠣の素材の持ち味が最も引き立つのが揚げ餃子ということですね。
「そうです。それに、揚げたときに美味しいように食材を組み合わせてあるんですよ。
ほろ苦い中島菜、牡蠣と食感の似たエリンギ、牡蠣にもエリンギにもよく合うバター、さらにニンニク醤油、餃子らしくニラを少々…」
――材料を聞くだけですでに美味しそうです…!
“海なし県”の出身。移住するなら海の見える町に

――現在は七尾市に居酒屋『朝漁れ一番 哲』を構える会田さんですが、ご出身は埼玉県とお聞きしました。
「はい。はじめの頃は埼玉県越谷市のお寿司屋さんで働いていました。けどほら、埼玉県って海がないじゃないですか。
どうせならいつかは海の見えるような場所でお店をやりたいなぁという思いがずっとあったんです」
――日本には海の見える町が沢山ありますが、どのように候補を絞っていったのか気になります。
「実はお寿司屋さんのあとに勤めた海産物の会社で、島根県のセリに同行させていただく機会があったんです。そのとき、日本海側の魚はいいなぁと思いまして」
――なるほど、それでまずは「移住するなら日本海側に」と。

――最終的に七尾を選んだ決め手は?
「現実的な話なのですが、移住支援の仕組みが手厚かった。この支援制度を利用してお店を出した移住者は僕で60番目なんですよ」
――では、たくさん移住者仲間がいるんですね!
「そうなんです。移住者の皆さんがそれぞれ店を出して頑張っていて。それを見ると僕も頑張らなくてはという気になりますよね」
――土地の魅力はもちろん、そうしたコミュニティの存在も大事です。
「移住者同士で一緒に何かやろうと誘われることもあるんですけどね。でも僕は一匹狼が性に合ってるから、そこはお断りしちゃう(笑)」
七尾の良さをこちらから発信していく

――居酒屋を営むだけでなく、全国に向けた餃子の販売にも本腰を入れようと思ったのにはきっかけが?
「やはり大きかったのは能登半島地震ですね。
この先復興が進んでも、震災前とまったく同じ形に戻って同じようにお客さんがいらっしゃるかというと、少し変わってしまうこともあると思うんです。
だから七尾に来ていただくことだけを考えるよりは、こちらから届けていくことも考えなければと」
――なるほど。
「県外からのお客さんの話を聞くと、七尾で牡蠣の養殖が盛んなことも、中島菜という伝統野菜があることもあんまり知られていないんですよね」
――七尾の美味しいものを、この牡蠣餃子を通じて発信していきたいんですね。


(後編に続きます)
今回ご紹介した商品「哲の手作り牡蠣餃子」はこちらから購入できます。
会田さんの自信作、ぜひお試しくださいね!


