七尾市の特産品、牡蠣が贅沢な餃子になりました。“移住者”が手掛ける能登の味(後編)

七尾市の特産品、牡蠣が贅沢な餃子になりました。“移住者”が手掛ける能登の味(後編)

石川県七尾市。カキ養殖で高いシェアを持つ隠れた牡蠣の名産地です。

そんな牡蠣をふんだんに使った「牡蠣餃子」を作るのは、七尾市の居酒屋『朝漁れ一番 哲』の会田 哲也さん。牡蠣餃子はお店で提供するだけでなく通販で全国的に販売も。人気を集めています。

前編では、埼玉県から七尾市に移り住んだきっかけについてお聞きしました。後編でも、移住のエピソードや牡蠣餃子についての話がさらに続きます。

(前編はこちら

「移住者が営む居酒屋」をあえて宣伝文句に

石川県七尾市の居酒屋「朝漁れ一番哲」の店舗
■似顔絵が目を引く暖簾。よく見ると「移住者の店」と気になる文言が…

――「埼玉からの移住者の店」。珍しい看板を掲げていますよね。

「視察に来た役場の方には『なんでこんなことわざわざ書くの?』と言われてしまいました。
でも、普通の看板を出していてもね。『朝漁れ一番』だけ書いてても『ああ、朝獲れた魚を出してるのね』と思われるだけ。こうしておけば何で埼玉からわざわざ来たの?って引っ掛かるじゃないですか」

――確かに。私も先ほどまんまとその質問をしてしまいました。

「以前も、お店に来た大阪のおばちゃんが開口一番『なんでまた埼玉からここやねん!』と」

――作戦通りですね(笑)。居酒屋を利用されるお客さんには県外の方が多いんですか?

「そうですね、7割8割ぐらいは県外の方。せっかく七尾にある店なんだから、地元のものを使ってお客さんに出そうと思っています」

――地元の人が普段食べているようなものが食べたいという観光客も多いですよね。喜ばれそうです。

「最近では、近隣のホテルの従業員の方が宿泊客から『いい店ないですか』と聞かれたときにうちの店を紹介してくれているみたいで。
店に来るお客さんはもちろんですけど、そういう地元の人からの期待も裏切ってはいけないと思いますね」

2年越しで試作を繰り返した自信作。噛み締めて!

石川県七尾市の居酒屋「朝漁れ一番哲」の牡蠣餃子のグラタン
■牡蠣餃子のグラタン風。トマトソースがなければケチャップでも美味しく作れます。

――牡蠣餃子は、お店でも食べることができるのでしょうか。

「もちろん店でも出しています。餃子自体に味付けしてあるのでそのままでも美味しいですが、能登塩やポン酢をつけて食べるのもおすすめしています」

――アレンジレシピも楽しめるのだとか。

「はい。たとえば揚げた餃子にトマトソースとチーズをのせてオーブンで焼いてグラタン風にするのがおすすめ。
この餃子、牡蠣好きの人に食べてほしいというのは当然ですが、料理好きの人にも届けられたらと思っています。アレンジの幅が広いので楽しめると思いますよ」

石川県七尾市の居酒屋「朝漁れ一番哲」の牡蠣餃子のグラタン
■お店では裏メニューとして提供。「自宅向けのレシピとしてSNSに載せたんですが、店でも出して!という声が多くて…」と会田さん。

――アレンジと言えば、そもそも餃子に牡蠣と中島菜というのも意外なアレンジですよね。アイディアはどのように思いつくのでしょうか?

「いやあ、なんとなくですね!ふと思い浮かぶんです。そういうことを言うと、居酒屋ではなくて創作料理の店をやったら?と人に言われるんですけど、僕は居酒屋が向いている」

――肩ひじ張らないのが性に合うのでしょうか。

「そうなんですよ。僕のこの先の目標は、ここで畑をやって、その隣に餃子工場のプレハブを建てて、その隣に誰でも気軽に来られるような食堂を開くこと。まさしくスローライフみたいな」

――最後に、牡蠣餃子について一言お願いします。

「実はですね、完成までに結構苦労したんです。
牡蠣は季節ものなので1年のなかで試作ができる時期が限られていて、2年がかりで取り組んでいるうちに今度は能登半島地震。
一緒に噛み締めてください!…なんて言ったら重すぎるかな(笑)」

――より深い味わいに感じられそうです。お話をお聞かせいただきありがとうございました!

石川県七尾市の居酒屋「朝漁れ一番哲」の店主の会田哲也さん
■店主の会田さん。ぜひ七尾まで会いに行ってみて。

(後編おわり)

今回ご紹介した商品「哲の手作り牡蠣餃子」はこちらから購入できます。
会田さんの自信作、ぜひお試しくださいね!

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